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小林真一の作品を拾い読み きらめく星座社★ 【 『炎の商社マン』 第一章より 】

小林真一の作品を拾い読み きらめく星座社★

こんにちは。 神戸から生まれた出版社、『きらめく星座社』です。 私たちが送りだす、小林真一・著の作品を、少しずつご紹介していきます。

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【 『炎の商社マン』 第一章より 】

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『 炎の商社マン(上) 第1章 』より・・・・・・・


昭和44年(1969)1月のある昼下がり、一人の男が大阪中之島にある中央公会堂の階段に腰をおろし、長い間座り込んでいた。

1月にしては暖かい日ではあったが、それでもオーバー・コートを着ることもなく、頭を深々と下げた格好で身動きもしないのは異常な光景といえた。

ホームレスにしては、身だしなみが良すぎるその男、高木源一郎は、名門商社トーセンのハンブルグ支店長兼欧州繊維部長という要職にあった。そんな立派な肩書きを持つ男が、なにゆえに冬空の下、オフイス街を離れた場所に、オーバー・コートもなく座り込んでいなきゃならんのか、当の高木自身がサッパリ分かっていなかった。
「まる光さんまでが・・・・・」と、高木がつぶやくのを場所柄耳にする者は誰もいない。

ようやく顔をあげた高木の両目は充血していて、まだ涙の跡が光って見える。いい中年の男がひとしきり泣いたものとみえた。顔には深いシワが何本も刻まれ、苦渋のさまがより際立っていた。

中央公会堂前の広場のかなたに、木村長門守重成殉忠の碑が建っている。ふと我にかえった高木が、自身のあり様を不審げに辺りを見回したとき、目に飛び込んできたのが、この碑であったが、はて木村長門守ってのは何者だったかそんなことは今の高木にとっては、どうでもよいことであった。

「オレはどうして、こんな所に居るんだろう」。
ぶるっと震えた高木は、あらためて自分がオーバー・コートを着用していないことに気づき、頼りにしていた光柳専務から、「今はお前のことなんぞに関わりあってる暇はない。出て行ってくれ」と、冷たく言い放たれてそのまま会社を飛び出し、足の赴くままに堺筋を北上して、中之島公園にまで夢中でやってきた、自分の足取りを反芻していた。

「すべては、あん畜生のせいだ。とんでもない疫病神を抱えこんだものだ」。
「それにしてもトーセンも変わってしまった。合成繊維の連中がいつの間にあんなに鼻息が荒くなったんだろう。それにひきかえ綿糸布部門の沈滞ぶりは情けないほどだ」。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『 炎の商社マン(上) 第1章 』より・・・・・・・


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